いぬ

いぬ
I
いぬ【去ぬ・往ぬ】
※一※ (動ナ変)
(1)行く。 行ってしまう。 去る。

「おのが行かまほしき所へ~・ぬ/竹取」

(2)時が過ぎ去る。

「あはれ今年の秋も~・ぬめり/千載(雑上)」

(3)死ぬ。

「うち嘆き妹が~・ぬれば/万葉 1809」

(4)くさる。 悪くなる。

「鉄は~・んでいやせぬか/洒落本・箱枕」

※二※ (動ナ四)
〔※一※ の四段化。 近世中期以降の語〕
(1)(関西地方で)立ち去る。 帰る。

「早う~・ね」

(2){※一※}に同じ。

「わしや~・ぬ事はいやぢや/歌舞伎・三十石」

II
いぬ【寝ぬ】
〔名詞「寝(イ)」と動詞「寝(ヌ)」の複合した語〕
寝る。 眠る。

「旅衣八つ着襲ねて~・ぬれども/万葉 4351」

III
いぬ【戌】
(1)十二支の第一一番目。 年・日・時刻・方位などに当てる。
(2)時刻の名。 今の午後八時頃。 また, 午後七時から九時まで, または午後八時から一〇時まで。
(3)方角の名。 西から北へ三〇度の方角。
IV
いぬ【犬・狗】
※一※ (名)
(1)食肉目イヌ科の哺乳類。 オオカミを家畜化した動物と考えられている。 よく人になれ, 番用・愛玩用・狩猟用・警察用・労役用などとして広く飼育される。 品種が多く, 大きさ・色・形などもさまざまである。
(2)(比喩的に)まわし者。 スパイ。

「警察の~」

※二※ (接頭)
名詞に付く。
(1)卑しめ軽んじて, 価値の劣る意を表す。

「~侍」

(2)似て非なるものの意を表す。

「~山椒」「~蓼(タデ)」

(3)役に立たないもの, むだであることを表す。

「~死に」

~が西向きゃ尾は東
当たり前のこと, 当然のことのたとえ。
~と猿
仲の悪いことのたとえ。
犬猿
~に論語
どのように説いて聞かせても無駄なことのたとえ。 馬の耳に念仏。
~の川端歩き
どんなに歩きまわっても何の収穫もないこと。 また, 金を持たずに店頭をぶらつくこと。
~の糞(クソ)
きたないもの, 軽蔑すべきもの, 数多くあるものなどをいうたとえ。
~の遠吠(トオボ)え
臆病者が陰で空威張りをしたり, 他人を非難したりすることのたとえ。
~は人に付き猫は家に付く
〔犬と猫の性情を言い表したもの〕
犬は家人になつき, 引っ越しにもついて行くが, 猫は人よりも家の建物・場所になじむ。
~も歩けば棒に当たる
物事をしようとしている者は思いがけない災難にあうものだというたとえ。 また, 思いがけない幸運にあうことのたとえにもいう。
~も食わない
何でも食う犬でさえ食わない。 誰も好かない。 誰もとり合わない。

「夫婦喧嘩は~」

~も朋輩(ホウバイ)鷹(タカ)も朋輩
同じ主人に仕えていれば, 身分に違いはあっても, 朋輩であることには変わりないことのたとえ。
V
いぬ【率寝】
(男が女を)連れて行って一緒に寝る。

「我が~・ねし妹は忘れじ/古事記(上)」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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